かるがもコラム ~ワクチンのこと~


大人の麻しん(はしか)・風しん抗体検査

 

<麻しん>

麻しん(はしか)は、発熱や風邪症状から始まり、全身に発疹が出る感染症です。日本固有の麻しんウイルスは排除されていますが、海外で感染した方が国内に持ち込み、一部の地域で感染を広げる状況が現在も続いています。幸いにもその感染拡大は一部分に止まっていて、一昨年にニュースになったような空港やコンサート会場での大きな感染にはならず、ニュースにもなっていないようです。

この麻しん、まだ予防接種を受ける前の赤ちゃんが感染することを避けなくてはなりません。命も落としかねない感染症だからです。

麻しんワクチンは2回接種することで、感染症から守るための抗体が長く身体に定着します。

日本では2006年から定期接種が2回となりましたが、その制度が始まる前の世代である10代後半から30代の方は、抗体が少ないことが分かっています。ちょうど結婚・出産する年齢、もしくはこれから子どもを産む年齢の方々です。

これから赤ちゃんを授かる希望のある方には(女性も男性も)麻しんの抗体検査をお受けいただき、抗体がない方はワクチンをお受けいただくことをお勧めしています。

 

<風しんの流行状況>

風しんは、発熱、発疹、リンパ節の腫れなどの症状がみられるウイルス感染症です。健康な方が感染しても、多くの場合は経過の良い感染症ですが、妊娠早期(妊娠20週頃まで)の妊婦さんが感染すると、赤ちゃんの耳が聞こえにくくなる、心臓に奇形が生じる、目が見えにくくなるなどの障がい(先天性風しん症候群)が現れる可能性があります。この先天性風しん症候群の赤ちゃんが、ここ数年とても増えていて大きな問題になっています。

これから赤ちゃんを授かる希望のある方には(女性も男性も)風しん抗体検査と、抗体が低い場合にはワクチン接種をお勧めします。

女性は妊娠後に必ず産院で風しん抗体検査が行われ、万一抗体が低い場合には(妊娠中は風しんワクチンの接種はできないため)お産してすぐにワクチン接種が勧められる産院が多いです(必ず接種を勧められるわけではないようなので、ご自身で必ず確認してください)。男性はパートナーの女性が妊娠しているかに関わらず、いつでも抗体検査・ワクチン接種が可能です。

 

<抗体検査・ワクチンの料金> ※検査会社の都合により、料金が再変更となりました

麻しん・風しん抗体検査 3000円

麻しん・風しん混合ワクチン8000円

 

<藤沢市の助成について>

藤沢市では、対象者に対して風しん抗体検査(自己負担なし)、風しん予防接種(一部自己負担)の助成を行っています。

対象者については以下のリンクを参照してください。

 

風しん抗体検査について詳しくは→藤沢市のホームページ

(当院では助成利用の風しん抗体検査と同時に麻しん抗体検査も希望される場合は、+1000円で追加検査を行っています)

風しんワクチンについて詳しくは→藤沢市のホームページ

 

麻しん風しん混合ワクチンの接種も助成対象(自己負担3400円)となります。


B型肝炎ワクチン

 

2016年秋から定期接種が始まったB型肝炎ワクチンの紹介をします。

 

B型肝炎ウイルスは、世界中で感染者が増え続けている肝臓病の原因ウイルスです。
世界中で3億人の感染者がいて、毎年60万人がこれによる病気で亡くなっています。

日本でも約130万人の感染者がいると推定されていて、その10~15%は治りにくい肝臓病(慢性肝炎や肝硬変、肝がんなど)になります。

またウイルスの悪さが始まる前(キャリア)のうちは、自分が感染しているのに気づいていない人が多いのが実情です。

子どもに対しての感染対策として、以前からB型肝炎ウイルスをもつお母さんから生まれた赤ちゃんには、お産時の感染を防ぐ対策がとられていて、一定の効果を挙げています。

 

それでも、子どもの感染者がゼロにはならないのはなぜか。

 

最近の様々な研究によって、唾液・汗・涙など身近な環境からも感染することが分かってきました。

身近な感染例としては、
「保育園で、保育士がB型肝炎のキャリアだったことでの、園児と職員への集団感染」
「家族内の感染(おじいちゃんから孫へ)」
「運動部での汗からの集団感染」などの報告があるようです。

お父さんがキャリアの場合、4人に1人の赤ちゃんが感染してしまうという報告もあります。

 

小さなお子さんは特に免疫が弱いため、感染すると急性肝炎を起こしたり、ウイルスが住みつくキャリアとなりやすいことが分かっています。


多くの国とくに先進国ではすでに定期接種になっています。
日本でも定期接種の対象年齢が拡大されることが望まれますが、いつどこから感染するか分からない感染症です。
できるだけ早い時期の接種をお勧めします。

生後2ヶ月から開始したい予防接種ですが、何歳から開始しても一定の効果はあります。
特に人との接触の多くなる保育園や幼稚園の入園前までには接種を済ませておくと安心です。

 

院長 江田


おたふくかぜワクチン

 

おたふくかぜワクチンは、任意接種ですが大変重要な予防接種です。
当院では、1歳以降にまだ未接種の方、数年後の追加接種をお忘れの方には、積極的にお声かけしています。


おたふくかぜは「流行性耳下腺炎」と言います。
病原体はムンプスウイルス。
2歳以降にかかり、耳や顎の下の唾液腺が腫れや痛み、発熱を引き起こします。


数年ごとに流行する年があり、昨年(2016年)が流行年で藤沢市内でも学級閉鎖が出たくらいの流行でした。


昔はみずぼうそうと同じように、感染しているお子さんからもらっちゃおう、などと言われていましたが、
医学が進歩した今は、お勧めできない危険なことです。

 

その理由は、おたふくかぜの「合併症」がとても深刻な場合があるからです。

無菌性髄膜炎、睾丸炎、卵巣炎…色々とありますが、中でも問題視されている合併症は「難聴」です。


難聴になると治療法がなく、耳の聞こえは治りづらいものです。
そして難聴になる割合がとても高く、500~1000人に1人と言われています。


より副反応が少ないワクチンの開発が進めば、定期接種化(無料)されることが期待されますが、現時点でいつから開始されるか見通しは全く立っていません。

接種をする場合には、低年齢のほうがより副反応が起きづらいというデータがあります。
健康な方々には1歳になったらすぐに1回目の接種、3~5年後に追加接種をお勧めします。

 

早く日本からおたふくかぜの流行がなくなること、合併症によって難聴になるお子さんが1人もいなくなることを切に願います。

 

院長 江田